独自機構により乳棒は乳鉢内に均等な軌跡を描きます(エピサイクロイド曲線)。これにより、粉体やペースト・スラリーをムラなく均一に撹拌しながら、粉砕・分散・混合・混練・捏和処理を実現します。さらに真空機能を付加された装置では、真空中で分散・混合することにより、単なる分散機、混合機ではなく、材料の水分を蒸発させながらの処理となり、濃縮装置(エバポレーター)としての機能も発揮することができます。加熱・冷却等機能付加により調温下での加工、脱泡など処理の幅を拡げています。また、乳鉢/乳棒の熱容量が大きいため、摩擦熱が材料に伝わりにくく、材料を一定温度で処理できることも特長の一つです。
このように石川工場では長年蓄積した技術・ノウハウで撹拌しながら、粉砕・分散・混合・混錬・捏和のアイデアをご提案いたします。
石川式自動乳鉢は、撹拌と分散・混合・混練・すり潰し(摩砕、解砕、粉砕)の同時処理が可能な自動乳鉢です。食品、化学材料や薬品、高機能材料、電子部品材料、近年では全個体電池材料など、粉体やスラリーから高粘度体まで、どのような素材でも扱うことができます。
乳棒の軌跡がエピサイクロイド曲線を描くため、乳鉢内を密にムラなく、均一に処理することができます。磁器製の乳鉢と乳棒を採用しているため、硬く削れにくく、かつ薬品耐性も高いという特長があります。独自技術により、石川式自動乳鉢は以下のような基本性能を有してます。
1.均一で精緻な混合が可能
・粒度制御をしながら均一な混合ができる
・マイルドな処理が可能で粒子の過粉砕のリスクを低減できる(ソフトな混合・微粒子化が可能)
2.粒径の均一化と制御が容易
・微粉砕しながら、粒径を均一に整えることができる
・ナノレベルではなく、ミクロ~サブミクロンレベルの制御が得意
・焼成後の粒成長を最適化できる(均質な前駆体を形成)
3.材料の過度な劣化を防ぐ
・機械的なストレスが少ないため(マイルドな処理エネルギー)、化学変化を抑えつつ処理できる
・材料の劣化を最小限にしながら均質化
・高エネルギー処理(ボールミルなど)では発熱による反応変化が起こるが、自動乳鉢では温度管理がしやすい
4.少量試作・実験向けに適している
・ボールミルやプラネタリーミキサーは大量の原料が必要 だが、自動乳鉢は最小0.5gの試作が可能
・材料の無駄を減らしながら試作できる(特に高価な材料向け)
・プロセスのスケールアップにも対応しやすい(小規模→大規模への適用が容易)
5.スラリー、ペースト、高粘度材料の処理も可能
・乳棒回転のモータートルクが高いため、高粘度材料でも処理ができる
・撹拌しながら、分散・混合・混錬ができるので、スラリーやペーストの均一分散が可能
・粉体を粉砕しながら、樹脂・溶媒との分散を同時に処理ができる
材料の飛沫を防ぐ防塵の仕組みは、視認性を確保した上で、防塵、手の巻き込み防止を確保するのみならず、乳鉢の垂直抑えとなっており4つの機能を実現します。またカバーにカプラーを取り付ければ雰囲気下での加工も可能です。
真空カバーを取り付けることで、スラリー・ペーストの濃縮乾燥、粘調体の脱泡、不活性ガス置換下環境での撹拌擂潰などが可能となります。
極低温から高温までの温度を加えることも可能です。反応性の高い物質を冷却しながら撹拌擂潰可能です。半導体ヒートシンク、3Dプリンター用樹脂の高温での混練が実現できます。
機能を組み合わせることで、エバポレーター(濃縮装置)、スプレイドライヤー、シリコン型の脱泡、ビーズミル・ボールミル・ニーダー・プラネタリミキサーや三本ロールミルなどの分散機の代替として使用することができます。処理エネルギーがマイルドなため、メカノケミカル、メカニカルアロイング、ソルトミリング、活性度の高い金属の合金化などの処理にも対応可能です。
石川式自動乳鉢は独自技術により乳鉢内をムラなく、均一に処理ができるため、以下のような装置のプレ分散や代替として活用が見込まれます。
1. 三本ロールミル(スリーロールミル)
用途: 高粘度材料の分散・混練(例: インク、塗料、電子材料のペースト)
代替可能性: 自動乳鉢は真空環境下での混合が可能であり、気泡の混入を防ぎながら均一な分散を実現できるため、ある程度の代替が可能。
2. ボールミル(ボールミリング)
用途: 粉砕・混合(例: セラミックス、金属粉末、電池材料)
代替可能性: 自動乳鉢は低速で均一なすりつぶしが可能なため、ボールミルよりも穏やかな条件での粉砕・混合に適する。ただし、大量処理には不向き。
3. プラネタリーボールミル
用途: 高エネルギー粉砕(例: ナノ粒子の製造)
代替可能性: 自動乳鉢は比較的マイルドなエネルギーでの粉砕・混合に適するため、プラネタリーボールミルほどの強力な粉砕力はない。ただし、高粘度材料の均一混合には有利。
4. ニーダー(捏和機)・混練機
用途: 高粘度材料の混練(例: 樹脂、セラミックペースト)
代替可能性: 自動乳鉢は高粘度材料(~1,000,000 mPa·s)の混練が可能であり、小スケールでの代替が可能。ただし、大量生産には不向き。
5. ホモジナイザー(高せん断ミキサー)
用途: 乳化・分散(例: 化粧品、食品、製薬)
代替可能性: 自動乳鉢は機械的なせん断力を利用した分散が可能なため、小スケールでの代替が可能。
6. メカニカルミキサー・撹拌機
用途: 液体・ペーストの撹拌(例: 樹脂、化学反応用混合)
代替可能性: 自動乳鉢は穏やかで均一な撹拌・混合が可能なため代替可能。ただし、強力な攪拌が必要な場合は専用の撹拌機が必要。
7. ロータリーエバポレーター(減圧濃縮装置)
用途: 溶媒の除去、濃縮
代替可能性: 自動乳鉢に冷却トラップを組み合わせることで、減圧下での濃縮・混合が可能。た
まとめ
石川式自動乳鉢は、「真空環境下での混合・すりつぶし・分散・濃縮」 に強みがあり、特に高粘度材料の処理や、少量試作・研究用途では有利に働きます。特定の用途では既存装置の代替として使用可能ですが、処理量や粒径制御の点で専用装置が必要になる場合もあります。
■特長
石川式自動乳鉢(石川式撹拌擂潰機)は機械サイズ、乳鉢(石臼)と乳棒(杵)の材質、乳鉢(石臼)/乳棒(杵)の回転機構、処理材料の処理量や硬度、粒子径サイズ、粘度等、さまざまな処理材料の状況に合わせた機械を揃えております。
石川式撹拌擂潰機の最大の特徴は、「粉砕=砕く」「撹拌=かき混ぜる」「分散=材料の中に粒子を散らばせ る」「混練=練り合せる、混ぜ合わせる」これらの処理を1台でまかなえる点にあります。処理効率は格段にアップし、別々に処理を行うのに比べて、優れた処理結果を得られます。
乳棒のバネの強さや先端の形状、回転機構を変えることで、粉砕力の強弱や、撹拌性能の強弱も変更可能です。1 台の機械でさまざまなシーンに対応できるというフレキシブルな使用感が、石川式撹拌槽潰機の大きな強みです。